三毛猫ミーコの思い出話② 「君の名は」

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さて、取りあえずトイレの躾は心配なさそうなこの仔猫。次に心配するのは……

そう、出す物の反対である入れる物。つまりは食べ物です。さすがにこんな仔猫に猫まんまという訳にもいきません。アレルギーとかしんぱいですからね。とは言え時は昭和で場所は中国地方の片田舎。令和の今なら当然の猫用ミルクなんぞ影も形もありません。

ならば牛乳だ!

という事で私が近所の雑貨店に買いに行く事になりました。しかしまだ小学生の私はこの可愛い仔猫と離れたくはありません。そこで私は「この猫に車を警戒させておかないといけない。それに近所に紹介しておかないと」と兄を言いくるめて、まんまと猫を連れ出す事に成功します。

その姿たるや……

仔猫を抱き上げますがやはり警戒心が強いのか嫌がります。しかし私もその程度では諦めません。かつて見た「母を訪ねて三千里」のマルコのようなアレがしたいのです。猫を右肩に乗せると意外や意外、大人しくしています。仔猫にとっては高さがありすぎるのでしょう。

猫が落ちないようにそっと手で支えてやり玄関を出るとすぐさま車が門の外を通過。目を丸くして驚く猫に「あれが車だ。轢かれたらイチコロだからな。あの音がしたらすぐにここ(玄関ポーチ。一段高くなっている)に逃げろ。ここなら車が入ってきても安心だから」と語りかけるとなんだか妙に納得した顔をしてこちらを見つめてくる仔猫。事実、その後は庭に車が入ってくると玄関ポーチに逃げていたのでちゃんと通じていたのでしょう。

そして無事に猫と共に買い物終了。猫を肩に乗せてあるく姿は当時ならマルコ。今なら黄色い電気ネズミを肩に乗せて果てしない旅を続けていたあの少年を彷彿させていた事でしょう。

知らないうちに名前決定

牛乳が気に入ったようで、仔猫は無心に飲んでいます。その横で私と兄はある問題について話し合っていました。そう、この仔猫の名前についてです。

なんとしても可愛いオシャレな(当時基準ですが)名前にしたい。それにはやはり横文字の名前だ(当時基準)などと言いはするものの、すぐさま浮かんではきません。それが子供の限界です。

仕方ないのでその日は諦め、翌日に幾つか候補を出して決めるという流れになりました。

そして翌朝。

母に「この猫の名前は何がいいかなぁ?」テーブルでミルクをもらっている仔猫を撫でながら何となく聞いてみると衝撃の答えが返ってきました。

「それならお父さんがもう決めたよ」

「え?」

「ミーコだって」

「え?」

試しに仔猫に向かって「みーこ」と呼びかけるとこっちを見ます。完全に自分の名前が「ミーコ」だと認識している様子。

「横文字の名前」への憧れは見事に粉砕されたのでした。

 

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