レモン彗星撮影記

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レモン彗星

やって来ましたね、C/2025 A6(Lemmon)ことレモン彗星。いつぞやの彗星のように太陽の潮汐力で粉々に粉砕されてしまうかとヒヤヒヤしていたんですが、無事に切り抜けてくれました。
図鑑などでハレー彗星のドタバタを知って以来、「デカい彗星を見てみたい」という憧れにも似た気持ちを持っていました。天文好きなら一度は思うことなんじゃないでしょうか。
それが初めて叶ったのが懐かしの百武彗星。自動導入など無くても余裕で見つけられました。感激でしたねぇ。再び叶ったのがヘール・ボップ彗星でした。これも余裕の肉眼彗星で、適当に写しても長大な尾が写ってくれました。初めての星景写真になったのも覚えています。軽く数十度にわたる長大な尾は圧巻でしたね。深夜に撮影に行き、帰宅後に部屋の窓から「あの辺なんだよなぁ」と眺めてみたらユラユラと揺らめく彗星が見えて驚いたことを今でも鮮明に覚えています。
最近では紫金山・アトラス彗星ですね。大きさこそ前述の二つほどではないものの、充分に肉眼で見る事が出来ました。ちょっと暗かったのがZTF彗星でしたね。

そして今回

レモン彗星がやって来たワケです。割と条件もよく、何だかんだで期待していました。百武やヘール・ボップ彗星とまでは言わないにしても、紫金山・アトラス彗星くらいには見えるんじゃないか……と。
そう思ってこの彗星が西空へ回った頃に帰宅途中で山へ登り、トライしてみました。EOS6Dと標準の135ミリレンズ、それと双眼鏡と三脚を背負い1234段の階段を登って。もう汗だくですよ。スマホで位置を確認し、カメラのセッティングも終えて日暮れを待つ。贅沢な時間ですよね、現代社会においては。
そうして写したんですが……何も見えん……。露出を変えたり少しずつ方向を変えたりして散々写したんですが……どれだけライブビューを確認しても全然見えないという有様。北の方に少し霞が見えていたのでその所為かと思い、夜景だけを写してその日は帰宅しました。


帰宅後、PCの画面で確認したところ……写ってた! メチャクチャ小さくだけど!

思いっきりトリミングしてますw

予想よりも遙かに小さいながら、かろうじて捉えていました。よかったよかった……じゃない。
正直、紫金山・アトラス彗星くらいの大きさかと思いきや、ずっと小さいじゃないですか。これじゃ今後明るくなっても正直キツいのは疑いなし。他の人の作品を見てみれば少なくとも200ミリクラスのレンズじゃないとハッキリとはいかないみたいです。

ならば

これはリベンジするしかありません。翌週またもや帰宅途中で山に登り、撮影を敢行しました。しかし……APS-Cのカメラボディは持ってきていたものの、肝心の長いレンズを忘れてしまい前回と同じ機材で撮影する羽目にw 意味が無ぇ……。
ぼやいていても仕方ないのでまたもや帰宅途中で汗だくになって山に登り、最大限にズームしてなんとか捉えることに成功!

でもやっぱり小さい……所詮は135mmレンズ。人工衛星らしき光とのrendezvousが撮れたのはせめてもの慰めか……。でももっと彗星らしく写したいものです。

やるしかない

こうなったら意地でも大きく写さないと気が済みません。天気予報を眺めて「恐らくラストチャンス」と感じた水曜日、車に機材(R200SS一式)を積み込んで出勤。退勤後に軽い食べ物をコンビニで購入、日暮れまでの時間を使って編集者さんに連絡(これについてはまた後日)を取り日没を待つ事しばし。「雲の流れが遅いなぁ」と不安はありつつも、北の空は綺麗なので機材をセッテイング。しばらく待っていると日も暮れて北極星が出てきたので極軸も合わせて、ベガを使ってピント出しとスターブック10のアライメントも完了。後は彗星が見えてくるのを待つだけです。
しかし……雲がいつもとは逆に流れて行ってます。普段は西から東に向かって天気が流れて行くのに、今日は東から西に流れています。どうも嫌な予感が……。
取りあえず自動導入でレモン彗星を導入してみました。テスト撮影で写してみると……おお! ちゃんと写っている! ちゃんと彗星らしい! ……でもあっという間に雲が押し寄せてくる……。しかもステラショットの「クリックしたポイントを中央へ」導入する機能が全然効かないという事態に。今思えば写っている恒星が少なかったのかもしれませんが。
しかも帰宅後、良さげな画像を見繕って処理しようとした時。jpg形式で写していた事が判明しましたw これはがっくりきましたね。折角頑張ったのにこれかよと。
仕方ないので無理矢理に強調処理してみました。が、やはり……まぁ……ですね。

これで終われるワケがない

やらかしたままでは終われません。なのでその週末、ちょうどレモン彗星の高度が一番高くなる頃に晴れの予報、もう一度チャレンジする事にしました。正真正銘のラストチャンスです。夕方に前回と同じところに行き、同じ機材で再挑戦。今度は事前に記録画質をCR2に設定済みです。到着した頃にはいい感じで北極星も見え始め、すぐさま機材をセッティングして双眼鏡でレモン彗星の位置を確認すると……うっすら見えました。雲も視界の端っこに見える程度の好天です。気になるのは少し強めの風だけ。ですが私が使っているビクセンSXP-2赤道儀は風にも強く、今回も30秒~40秒のテスト撮影では風による乱れは認められませんでした。
構図も決め、今回はオートガイド撮影で行こうと思ったんですが……何故かPHD2Guidingはエラーが出てしまいました。「基準星が十分に動きません」的なメッセージが出てしまいます。二回ほど繰り返しましたが結果は同じ。時間を無駄には出来ないので今回もノータッチガイドでやる事にしました。テスト撮影したところ、40秒では若干恒星が流れてしまうので、30秒露光でいきます。
少しでも光害を押さえるためにQBPフィルターも付けています。街明かりや残照よりも車のヘッドライトに照らされてしまう場所なのでw
その結果。ヘッドライトの所為なのか、強調した画像には変なムラが出ていました。あれだけ照らされたらQBPフィルターでは太刀打ち出来ませんね。アレコレ試してみたんですがどうにもならない……。仕方ないので後日フラット画像を取り増しし、色々と強引にやってみたのがこちらです。まぁ幾らかマシになったかな……。周辺減光がエグいのでトリミングしてます。

色々とやらかしたものの、楽しい彗星撮影でしたw

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