三毛猫ミーコの思い出話⑧心通じる時

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漠然とですが

あれは確か、私が中学生になるかどうかという頃だったと思います。皆が出かけていて、私とミーコだけが家に居た時の事。私が自室で寝そべって本を読んでいたらミーコがやって来ました。私はいつもミーコが自由に出入り出来るように部屋の戸を開けていましたし、窓もミーコが通れるようにガラス戸を少し開けていましたので。そしてやって来たミーコはいつも私の背中に乗って寛ぐか、目の前までやって来て何かをねだるのが常でした。ねだるのは食べ物か遊びかどちらか。

この時は

私の顔を舐めてから頭を擦りつけ、目を閉じて返事を待っていました。いつものねだるスタイルです。腹が減ったのかなと思った私はミーコに「行くぞ」と言って立ち上がります。するとミーコは目を輝かせて付いてくる――どころか追い越していき、階段をサッサと降りて行くではありませんか。そして台所に入ったところで座り、私が来るのを待っています。

探し物はなんですか♪

見つかりにくいものでした。この時は。いつもならミーコが食べるものがすぐに見つかるのですが、その日に限って何もありませんでした。これは困った。後ろではミーコがじっと待っています。無邪気に信じて待ってくれている。これほどのプレッシャーはなかなかありません。なにしろ期待を裏切るわけにはいきませんからね。しかし無い物は無いのがこの世の真理。これは困った……。私はミーコに「ちょっと待ってろ」と告げ、財布を手に取ると玄関に向かいます。玄関に向かった時点でミーコは何かに気付いたのか追いかけて来ました。靴を履きながら「今なんにもないから、ミーコが食べられる物を買ってくるからな。少し待っててくれ」そう言うとミーコは目を閉じて納得した顔をしました。

自転車で急行

自転車に乗り、大急ぎで近くの雑貨店にいき猫の缶詰(ついでに自分の間食)を買い、これまた大急ぎで帰宅しました。そしてドアを開けると――ミーコがじっと座っているじゃありませんか。

これはグッときましたね。正直、ちょっと目頭が熱くなりました。もうミーコを撫でまくりですよ。そして缶詰をあげて、水も飲ませてあげると落ち着いたのかいつものように本を読む私の膝で丸くなって過ごすのでした。

何故か

その日以来、ミーコは更に私にべったりになり、その上私の言う事をよく聞くようになりました。それどころか、ミーコの言いたい事(というか感情)がよく分かるようになったのです。「ああ、ミーコはこういいたいんだな」とか「不満なんだな」「異議を唱えてるな」みたいな事がなんとなく分かるようになりました。一種のテレパシーと言ったらいいすぎでしょうけども、表情や仕草から分かるみたいな感じでしょうか。

飼い主の経験値なんでしょうかね。

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