紫金山・アトラス彗星撮影記

天体写真
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久々の肉眼彗星

紫金山・アトラス彗星が最接近を経過しました。これは肉眼でも見える(普通の視力ならば)と期待されていた彗星です。実現すればヘールボップ彗星以来の肉眼彗星になるので天文ファンは期待半分・悲観半分で待ち焦がれていました。

何故ならば

彗星は正に水物で、期待が大きくなればなるほど肩透かしを食らうのが常なのです。中には期待されていた彗星が近日点を通過したと思ったら、太陽の潮汐力で粉々に粉砕されてしまった事もあります。

なので彗星に関しては期待しすぎない方が「ガッカリしないで済む」という側面もあるのです。

だがしかし!

今回は既に南半球でかなりいい感じという情報が溢れていました。撮影された写真もかなりのものばかり。

今回は期待できる!

と喜んだのも束の間、近日点(太陽への最接近)を過ぎたあたりで核が二つに割れたとの情報が。星仲間が撮した画像をアップすると、確かに二つになっているっぽい……。

当初の予想では脅威のマイナス8等クラスにまで明るくなるとすら言われていたのに……そうなれば歴史に残るレベルの大彗星だったのに……。

落胆していても仕方ないのでチャンスを見て撮影する事にしました。時は10/10の日曜日。

こんなにキツいとは

問題は撮影場所の選定です。南の低空が開けている場所を探さないといけません。この彗星が現れるのは夕方、南の低空だからです。そこら中に山や丘がある岡山県では割と難しいのです。

一応は条件に合う場所を複数箇所知っているのですが、今回は実家近くの福山城跡にしました。小高い山の上にあり、展望台が西に向かって設置されています。ここは自宅から一番近い適合場所ですのでここにしました。翌日は朝早くから仕事ですので、早く帰れる事も重要です。

夕方が近付き、空にはやや雲が広がっていましたが「雲の隙間からでも見えればいいや」と出発したものの、思わぬ渋滞に巻き込まれ時間をロスしてしまいました。当初の予定では福山城跡に登るルートのうち、比較的傾斜が穏やかなルートを選ぶつもりでしたが時間がないので最もハードな正面突破コースで行く事にしました。

が。

このルートでは登山道の階段が1234段というハードモードです。私は元陸上部ですし、かつてこのコースを登った事もあります。その時は2~3回小休止するだけで踏破できていましたので「まぁ行けるだろ」と高をくくっていたのが間違いの元。

メッチャキツい……。

体力の衰えを痛感させられましたw

300段くらいまではなんとか行けましたが、そこから先はもうヘロヘロです。汗はボタボタ落ちるし心臓はバクバク鳴りっぱなしだし、常連っぽいお年寄りには追い越されてしまうし。

いやもう情けない限りでしたw

思わぬ苦難

カメラと三脚を背負っていたからだと自分に言い訳しながらなんとか山頂に着いたものの、低空には分厚めの雲がたなびいています。先行きに不安を感じながらカメラをセットして夕暮れを待つ間に試し撮りを兼ねて彗星を探しますがなかなか見つかりません。「もう崩壊しきったのかなぁ」と良くない想像をしていると、見知らぬおじさんが登ってきて私のカメラを見るなり話しかけてきました。どうやらこの方も彗星目当てのようで、一緒に彗星の出現を待つ事にしました。

が、なかなか現れません。SNSでは既に幾人かがUPしているというのに宵闇が迫ってきています。これはマズい。もっとすんなり事が済むと思っていたのでライトを持ってきていません。仕方ないのでスマホで照らしてカメラの設定を弄っていると、おじさんが「あ、もしかしてアレですか?」と声を上げました。

指さす方を見ると思っていたよりも上に明らかな彗星の姿が!

「コレです!」

と声を張り上げてカメラに飛びつきました。ヘールボップ彗星以来の一目で分かる大きな、そして明るい彗星。感無量とはこの事です。

一通り撮してからおじさんにナイトモードで撮すように教えてあげました。驚く事にスマホでも充分に撮せていました。

私が撮したのがこちら。

EOS6D(HKIR)  135mm 15s 固定撮影 photoshopにて処理

 

 

 

EOS6D(HKIR)  50mm 15s 固定撮影 photoshopにて処理

帰り道はおじさんにライトを一本借りて下山しました。

おじさん、ありがとうございます!

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