猫は好奇心で生きる
ミーコがすっかり懐いてからというもの、主に世話をしてくれる母と私に特に甘えるようになりました。そりゃそうですよね。父の所にはあまり行かず、兄の所には行かなくもない。そんな感じに落ち着く事になりました。
ところが好奇心旺盛なミーコは変わった事や変わった物が大好きで、確かめずにはいられない性格。それによりえらい目に遭う事がありました。
あれは私がまだ20代前半の頃。冬時で父が車で灯油を買って帰った時の事。携行缶を幾つか満タンにして帰った父は車のハッチを開けっぱなしにして携行缶を運び込んでいました。
そこを見逃さないのがミーコ。車の中に興味津津。早速入り込み車内をチェックして回ったようです。いつもなら一通り見て回ったら出てくるんですが、この時は灯油の臭いが気になったのか普段よりも長めにチェックしていたらしく、父はミーコが家に帰っていったと思い込んでしまいました。そしてハッチを閉じてしまったのです。
憐れ閉じ込められてしまったミーコ。しかも冬時の寒さの中です。その時私は二階の自室で読書中……絶体絶命のミーコ。
奇跡かテレパシーか
その時、私の耳に微かな猫の鳴き声が。でもいつものミーコの声ではありません。近所の猫の声かなぁと呑気な事を思いながら本に目を戻しました。
続けて聞こえてくる猫の声。「もしかして……ミーコ?」と思い窓の外を見ると、父の車の窓にミーコの姿が!
ウインドウに飛びついては出してくれと訴えています。
慌てて階段を降り、玄関のドアを開けっぱなしにして父の車のドアを開くと、一目散に家に駆け込んでいくミーコ。よほど怖かったのでしょう、一気にリビングへと走り母の近くへ座り込んでいました。
父にミーコを閉じ込めていた事を告げると、どうやら全く気付いていなかった様子。まぁそんなもんですよね……。
それ以後のミーコはというと、車のチェックはするものの長居はしないようになりました。怖いけども好奇心には勝てないという事でしょうか。
イギリスのことわざに「好奇心が猫を殺す」というのがありますが、本当なんでしょうね。幸いな事にミーコの好奇心はこの程度の危険で済みましたが。
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